深紅の双眸に宿る唄 コンテンツ
ご来訪いただき、誠にありがとうございます。

このブログでは、自作小説を掲載していきます。メインはファンタジー系長編小説『recast〜聖者と悪魔〜』で、中世ヨーロッパ風の世界のお話です。
設定や世界観などは、話が進むにつれて追々ご紹介していきます。

その他にも小説関連の雑記やら、短編やらも掲載していきます。

以下のサイトに最新版(改定版含む)を載せています。こちらの方が1話分先に進んでいます(ブログは1話遅れ)。縦書きでも読めます。
◆小説家になろう
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キャラクター紹介
序章:暗がりの少女(一)(二)(三)
第一章:令嬢と騎士(一)(二)(三)(四)(五)
第二章:聖剣激突(一)(二)(三)(四)(五)
第三章:胎動(一)(二)(三)(四)(五)
第四章:氷の人形(一)(二)(三)(四)(五)(六)
第五章:戦場への旅路(一)(二)(三)(四)(五)
第六章:カノヴィス平原の戦い(一)(二)(三)(四)(五)
第七章:使者(一)(二)(三)(四)(五)(六)
第八章:守るべきもの(一)(二)(三)(四)(五)
第九章:聖者の導き(一)(二)(三)(四)
第十章:赤い悪魔(一)(二)(三)(四)
第十一章:奪われる欠片(一)(二)(三)(四)(五)(六)(七)(八)(九)
第十二章:新たなる息吹(一)(二)(三)(四)(五)(六)(七)(八)(九)(十)
第十三章:托身(一)(二)(三)(四)(五)
第十四章:迷い人(一)(二)(三)(四)(五)
第十五章:それぞれの想い(一)(二)(三)(四)(五)

一言:
上のお月様をドラックすると動かせます。右に移動すると便利なものが現れます。

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第十六章:裏切り(六)
2010-02-09 Tue 20:45

 ファンティーネ王宮の地下。
 中央に位置する部屋の前に、数人の衛兵が倒れていた。息はある。だがぴくりとも動くことはない。
 部屋の扉は開け放たれ、その奥にある祭壇の前に白い髪の少女が立ち尽くしている。
 赤い瞳がゆらゆらと揺れている。焦点の定まらない視線を祭壇に向けていた。

 広い部屋だった。
 数十人で会議をする部屋と同じくらいの広さを持ちながら、中央に小さな石造りの祭壇が置かれているだけで、他には何もない。
 部屋をぐるりと囲むように燭台が並び、小さな灯火が無数に揺れている。
 吐く息が白むほど冷気に満たされていた。
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第十六章:裏切り(五)
2010-02-02 Tue 22:55

 フェルディナントは執務室の席に座り、衛兵の報告に耳を傾けていた。
 暖炉の火は控えめで肌寒い。
 衛兵は話し終えると部屋を出て行き、室内にはファルコを残すだけとなった。

「話し声か……。ラウラという魔術師の使い魔でなければ、やはり誰かが隠れていたようだね。内容が聞き取れなかったのは残念だけれど、まあ追々確認するとしよう」苦笑いにも見える笑みを僅かに作る。

 ファルコは呆れたように溜息を吐く。

「相変わらず悠長ですな。まあそんなことよりも――」いつものような飄々とした表情を消し、射抜くような視線を向けて続ける。

「本気ですか? 別に妻にすることもないと思いますがね」

 フェルディナントは笑顔を向けた。
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第十六章:裏切り(四)
2010-02-01 Mon 21:59

 混乱するエリアーヌを、どこか楽しそうにカミュは見つめていた。
 それが気に障ったのか、エリアーヌの口調がきつくなる。

「まじめに聞いているの?」言って、エリアーヌはしまったと思った。

 カミュはふざけているわけではない。何をするにも楽しくしようとしているのだ。それを知っていながらバカなことを言ってしまったと反省する。
 きょとんとした顔を向けるカミュに、小さくごめんなさいと謝った。

「オレも言い方が悪かったな。下手に考えすぎると碌《ろく》なことがないと思ったんだ。ま、ひとまずその話は置いておこう」
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第十六章:裏切り(三)
2010-01-31 Sun 10:38

 私の目の前に現れた愛くるしい子どもは、カミュと名乗った。
 信じられないけれど、醸し出す雰囲気はやっぱりカミュのそれだった。

 いろいろ聞きたいことがあるけれど考えが纏まらない。
 カミュはきょろきょろと落ち着きがない。と思ったら今度は暖炉をじっと見つめていた。

「今は冬なのか?」そう呟いた。

 カミュがいなくなってから三ヶ月ほど経っている。
 答えようとした時、扉を叩く音が聞こえた。
 驚いて思わず声を上げた。
 すると扉の向こうから、

「失敬。入っても構わないかな?」男の人の声が聞こえた。
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第十六章:裏切り(二)
2010-01-28 Thu 23:22

 くぐもった声が聞こえてきた。
 朦朧とする意識がだんだんとはっきりしてくる。
 頭の奥底から光が現れて、ゆっくりと円を描きながら広がっていく。
 私はゆっくりと目を開いた。けれど、視界は薄暗いままだった。

 がたがたと揺れている。その度に、横たわる身体の左側が打ち付けられる。
 私は身体を起こそうとして、手が動かせないことに気付いた。後ろ手に縛られているようだ。
 足も同じだった。足首の辺りで縛られているらしい。
 声を出そうとした。けれど塞がれた口からは何も音が出ず、鼻を通って唸る音が僅かに漏れるだけだった。
 だんだん状況が掴めて来た。どうやら麻のような布で身体ごと覆われているようだ。がらがらという音と共に、身体が揺さぶられる。馬車の荷台に乗せられているのだと思った。
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